ヨーロッパにはいろいろな言葉がありますが、それぞれがどのくらい似通っているかを表すデータがありました。https://elms.wordpress.com/2008/03/04/lexical-distance-among-languages-of-europe/
Lexical Distance Among the Languages of Europe という図です。語彙の共通性を分析したもののようです。
(オリジナルはウクライナで出版された、K. Tyshchenko (1999), Metatheory of Linguistics という文献)
https://elms.files.wordpress.com/2008/03/lexicaldistanceielangs.jpg
青 : ゲルマン語派(ドイツ語、オランダ語、英語など)
オレンジ : ロマンス語派(イタリア語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語など)
赤 : スラヴ語派(ロシア語、ウクライナ語、ポーランド語、チェコ語など)
となっています。
同じ色のグループ(語派)内の言葉の距離が近いのは、通説のとおりですね。
面白いのは、英語がドイツ語とフランス語の中間にあるということ。
大学で第二外国語を選択するとき、「ドイツ語とフランス語とどちらを選んだらいい?」という問いに対して、「ドイツ語の方が英語に似てるよ」と言うひともいれば、「フランス語の方が単語は似てるよ」という意見のひともいますね。
正解は…「英語との近さ」という点では、似たり寄ったりなんですね。
オレンジのグループ(ロマンス語派)は、ラテン語を親とする子供たちです。
そのなかで、ラテン語の直系であるイタリア語は、グループの中央に鎮座しています。
ロシア語はというと…スラヴ語派の右端にいますね。英語からは大きく離れたところにいます。
ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語であれば、英語の知識がかなり役に立ちますが、ロシア語は孤立していて、英語はもちろん、独・仏・伊・西の知識は使えそうもない…?
いいえ。ロシア語の学習に、英語の知識は大いに使えます。(もちろん、独・仏・伊・西語もです)
下の図をご覧ください。
The Evolution of the Word for “Four” from Proto-Indo-European to Various Modern European Languages となっています。「4」という言葉が、ヨーロッパ諸語の共通祖先「印欧祖語」(Proto-Indo-European Language)から分岐・変化し、現在の単語に落ち着いていくまでのプロセスを表しています。
https://i.redditmedia.com/BKIa2wHlB1WC8q9vtpGr6PTn_VZJ5OeCCXC6DJ2_s08.jpg?w=994&s=99cb52cc02e1df7f0cc0c8ceab7f71e1
ロシア語 четыре と、英語 four がどんなにかけ離れた言葉に見えても、じつはこの図のように、時代を遡っていくと、共通祖先である印欧祖語 *kʷetwéres にたどり着くんです。
素晴らしいですね!!